FX4クラウドマニュアル provided by 梅田公認会計士事務所    

【FX4クラウド】仕訳読込テンプレートのインボイス制度対応

今回の記事では、連携機能を利用する場合の読込ファイルの修正対応について説明します。

 FX 4クラウドは、業務システム等から出力された読込ファイルや Excel から仕訳を計上する機能を搭載しています。

当機能を用いてインボイス制度に対応した仕訳を計上するため、必要に応じて読込ファイルの修正が必要です。

 

仕訳読込テンプレートのインボイス対応(免税事業者からの課税仕入れ)

 FX 4クラウドはインボイス制度に対応するため、課税区分と仕訳読込テンプレートの読込項目が追加されます。

業務システム等から取得される読込ファイルについて、以下3点の修正対応が必要です。

 

1.課税仕入れ→「免税事業者等からの課税仕入れ」と「適格請求書発行事業者からの課税仕入れ」に区分して読込ファイルに課税区分をセット

 

2.「免税事業者等からの課税仕入れ」読込ファイルの「消費税等」には0円をセット

 

3.「事業者登録番号」(適格請求書発行事業者の登録番号)に、必要に応じて該当の事業者登録番号をセット※この項目は取引先コードから値を自動複写することも可能 。

 

こちらの3点は主に免税事業者等からの課税仕入れがある場合に対応が必要です。

 

<1.FX4クラウドのインボイス制度対応スケジュール>

令和5年6月に、免税事業者等からの課税仕入れを処理する課税区分の追加、仕訳読込テンプレートに読込項目事業者登録番号が追加予定です。

※この変更に伴い業務システム等から出力されます FX 4クラウドへの読込ファイルの修正が必要となります。

 

<2.課税区分の追加>

以下の課税区分が追加されます。

52 免税事業者等からの課税仕入れ(課税売上げ)
53 同課税仕入れ(免税事業者等)に係る対価の返還 
62 免税事業者等からの課税仕入れ(非課税売上げ)
63 同課税仕入れ(免税事業者等)に係る対価の返還 
72 免税事業者等からの課税仕入れ(売上げ共通)
73 同課税仕入れ(免税事業者等)に係る対価の返還 

 

(1)課税区分が追加される理由3点

課税区分が追加される理由は次の3点です。

 

①インボイス制度への対応

 

インボイス制度は、適格請求書発行事業者のみが発行可能な適格請求書などの保存が仕入税額控除の要件となります。

免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることはできません。

ただし免税事業者等からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。

 

②「免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置」とは

 

免税事業者などからの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています(6年間)。 

この経過措置では経過措置期間に応じた控除割合により仮払消費税等の計算が必要となります。

 

③経過措置期間に応じた控除割合より、仮払消費税等の計算が必要

 

令和5年10月1日~令和8年9月30日:80%控除可能

令和8年10月1日~令和11年9月30日:50%控除可能

 

インボイス対応の課税区分をセットすることで免税事業者等からの仮払消費税等を FX4 クラウド内で完全に自動計算することができます。

 

<3.読込項目「事業者登録番号」の追加>

仕訳連携機能で利用する仕訳見込みテンプレートの読込項目に事業者登録番号が新たに追加されます。

 

(1)なぜ追加するの?

 

項目を追加する理由は以下の3点です。

 

①適格請求書を交付可能な適格請求書発行事業者となるためには、登録申請手続きを行い登録を受ける必要があります。

 

②新規設立法人の場合、設立後、その課税期間の末日までに、登録申請手続きを行うことで事業開始時から登録を受けたものとみなされます

 

③ 適格請求書発行事業者は、登録の取消などが行われる可能性があります 。

以上のことから取引先が適格請求書発行事業者か否かを常に確認する必要があります。

 

(2)仕訳の有効性チェック

今回追加した読込項目、事業者登録番号は仕訳の有効性チェックに利用します。

 

①適格請求書発行事業者等からの課税の場合、仕訳に事業者登録番号を保存し、当該事業者登録番号の有効性をチェックします。

②免税事業者等からの課税仕入の場合、事業者登録番号がセットされている取引コードを指定された場合は警告を表示します。

 

(3)ご利用のワンポイントアドバイス!

①取引先コードを活用した事業所登録番号のセット

事業者登録番号を登録済みの取引先コードから当該事業者登録番号を自動でセットすることができます。取引先マスターを今のうちから整備しましょう。

 

②事業者登録番号を活用した取引先コードのセット

事業者登録番号により取引先コードの自動セットも可能です。Excelからの仕訳計上機能で仕訳データ入力の際、受領した請求書等に記載された事業者登録番号を入力することで、仕訳に取引先コードをセットできます。

 

<4. 読込ファイル(仕入・経費)の修正対応>

上記の課税区分読込項目の追加を踏まえた、仕訳読込テンプレートの読込ファイルの修正対応についてご説明します。

 

(1)課税区分による課税仕入れを区分

①適格請求書発行事業者から課税仕入れ等の場合に限り課税区分「5」や「7」等をセットしてください。

 

免税事業者等から課税仕入の場合、課税区分「52」や「72」等をセットしてください

 

(2)免税事業者等からの課税仕入れの仮払消費税等の自動計算

免税事業者等からの課税仕入れを[52]や[72]等の場合、以下のように登録してください。

①取引金額には税込金額をセット

②消費税等は0

 

(3)適格請求書発行事業者の有効性チェック

業務システム内の適格請求書発行事業者登録番号を「事業者登録番号」の項目にセットしてください。

 

まとめ

・適格請求書発行事業者と免税事業者からの課税仕入れを分けるには、

 仕入先単位で計上する必要あり。

 

・免税事業者等の場合は、課税区分[52][72]をセットし、取引金額は税込金額にし、また消費税額をゼロにする。

 

この結果 FX 4クラウドで仮払消費税等の自動計算します。

 

<5.読込ファイル(仕入・経費)の修正対応【連携方法別】>

読込ファイルの修正対応について連携方法別に詳しくご説明します。

まずは連携方法の確認です。 FX 4クラウドなどと業務システムとの連携は3つの方法があります。

 

① TKC 標準読込レイアウトファイルによる連携

②仕訳読込テンプレートの設計機能を利用した連携

 ③Excel からの仕訳計上機能を利用した連携

 

この上記3つの連携方法によって読込ファイルの修正方法が異なります。

 

以下、現在の連携方法を確認する流れです。

 

(1)連携方法の確認

①仕訳連携タブ「32 ファイルレイアウトの設計」を押す

②対象の業務システムを選択し、「2.仕訳読込テンプレートの設計」を押せるかどうかを確認する

 

1)押せる場合は「仕訳読込テンプレートの設計機能を利用した連携」。

2)押せない場合は「 TKC 標準読込レイアウトによる連携」。

 

32番のタブを押して業務システムを選び、2番が押せるかどうかを確認ください。

Excel から直接仕訳を計上する場合は、「 Excel からの仕訳計上機能利用の連携」となります。

 

(2)TKC 標準読込レイアウトファイルの場合の対応

①「免税事業者等からの課税仕入れ」の場合

1)7列目の課税区分[52][72]をセットします。

2)16列目の消費税金額は0をセットします。

 

②「適格請求書発行事業者からの課税仕入れ」の場合

47列目(新たに追加)に事業者登録番号をセットします。

(3)仕訳読込テンプレートの設計機能を利用する場合の修正対応

 

①「免税事業者等からの課税仕入れ」の場合

1)免税事業者等からの課税仕入れを処理する課税区分[52][72]等をセットします。

セットする場所ですが読込項目課税区分に紐づいている読込ファイル内の列となります。

2)消費税金額は0をセットします。

 

②「適格請求書発行事業者からの課税仕入れ」の場合

業務システム内の適格請求書発行事業者登録番号をセットしてください。

 

上記、業務システム側で課税区分の追加や消費税金額をゼロに対応することは難しいケースがある場合、仕訳読込テンプレートに搭載している「条件式」や「コード変換表」を利用して、課税区分と消費税金額に対応します。

 

例:取引先コードを基に、課税区分と消費税金額に「条件式」を設定

 項目「課税区分」

 取引先コードxxxxxxxの場合は、52。それ以外は、5。

 

 項目「消費税金額」

 取引先コードxxxxxxxの場合は、0。それ以外は、列○○を参照。

 

対応するためにも、免税事業者等を区分するキーが必要となるため、取引先名や取引先コード等で免税事業者等を区分することが必要になります

 

(4)Excelからの仕訳計上機能を利用する場合

最後に Excel からの仕訳計上機能を利用した連携の対応です。 Excel からの仕訳計上機能は Excel に直接課税区分や消費税金額を入力されてることが多いと思います。

そのため、免税事業者等からの課税仕入れの場合には、課税区分の列に52は72と入力してください。また、消費税金額はゼロを入力してください。

事業者登録番号については受領したインボイスに記載された適格請求書発行事業者登録番号を入力してください。

 

<5.その他の読込ファイルの修正対応>

 

【積み上げ計算を採用するときの注意事項】

(1)課税売上に係る消費税等(仮払消費税等)は、

請求書等の消費税などと同額を計上してください。

 

①売上税額は自社が発行した請求書等の消費税額を積み上げて計算します。

②この対応にあたり、FX4クラウドでは、仕訳の消費税等の合計額を申告システムに連携し、申告計算を行う予定です。

 

(2)免税事業者等からの課税仕入(課税区分[52]等)の仕訳は、

合計額ではなく、個々の取引単位で計上してください。

 

①免税事業者等からの課税仕入について、申告計算で使用する「仕入税額とみなす金額」は、課税仕入れの都度、計算及び端数処理が必要です。

②この取引にあたり、FX4クラウドでは、1伝票で1課税仕入れとみなして計算するため、取引ごとに伝票を作成してください。

 

これまでご説明した修正対応について、業務システムの改修が必要な場合、改修には一定期間を要することが想定されます。お早めの対応をお願いします。

 

インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁 (nta.go.jp)