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デジタルインボイスとは

デジタル庁が日本における標準仕様の策定・普及・定着を進める「デジタルインボイス」について紹介します。

 

1.電子インボイスとデジタルインボイス

インボイスの記載事項がセットされた電子データを「電子インボイス」と定義しています。

電子インボイス」と法令上明確に定義されたものではなく、例えば、紙で受領したインボイスをスキャナ保存したデータも「電子インボイス」と指す場合もあります。

 

今回の記事では、電子で送受信したインボイスのことを「電子インボイス」と呼びます。

その「電子インボイス」ですが、現在はメールの添付ファイルとして PDF で送られる場合が非常に多いと思います。

今回のメインテーマである「デジタルインボイス」は、その「電子インボイス」の一形態にあたります。

 

2.デジタルインボイスとは

デジタルインボイス」とは、標準化され、構造化された「電子インボイス」と定義されています。

標準化とは、経産省によると、ものや事柄の単純化、秩序化、試験評価方法の統一により、製品やサービスの互換性・品質性能・安全性の確保、利便性を向上するものとされています。

つまり、世の中に出回っている色々なシステムによらず、統一された形式の電子インボイスの送受信が可能となり、利便性が期待できます。

 

そして「構造化データ」とは、 IT 用語辞典によると、項目の形式や順序などを明確に定義された構造に従って記述・配置されたデータ集合のことで、プログラムによって自動処理するために用いられることが多いとされています。

 

普段の経理業務において、会計システムに CSV ファイルや xlsx データを読み込ませたりしているケースが非常に多いと多いと思います。これは「構造化データ」であることによって実現しています。

 

この二つの定義を合わせると、統一され明確に定義されたフォーマットの電子データがインボイスとして送られてくるということを意味します。

言い換えると、会計システムに読み込ませられるデータが「デジタルインボイス」という名を冠して仕入先から送られてくる、ということになります。

 

3.Peppol(ペポル)でのデータのやり取りの仕組み

デジタルインボイスは、Peppolネットワークでやりとりされることとなります。

Peppolネットワークには、「4コーナーモデル」というアーキテクチャが採用されています。

この「4コーナーモデル」では、自社のシステムで電子インボイスの発送処理を実行すると、お互いのアクセスポイントを経由して相手先のシステムに当該電子インボイスが届くという仕組みになっています。

この仕組みはお互いのインターネットサービスプロバイダーを経由して、相手先に届く電子メールの仕組みと似ています。

 

電子メールと大きく異なる点として、Peppolネットワークでは各事業者は法人番号などの公的な番号で識別されるという点が挙げられます。このためデジタルインボイスは相手先の担当者とのメールアドレスを指定して送るのではなく相手先の法人番号等を指定して送るという仕組みになっています。

 

4.仕入税額控除の要件等に関する整合性チェック

Peppolでは、データ送信時にその電子文書に応じた整合性チェックが実施されます。

日本のインボイスの場合、その記載事項が網羅されているか等の条件で、この整合性チェックが実施されます。

その内容は、例えば「売り手の名称」がセットされているか、といった単純なものだけでなく、消費税等が税率ごとに計算及び端数処理が行われた結果と一致しているか、といったものもあります。

これらの仕組みが盛り込まれていることから、送られてくる電子デジタルインボイスはこれらのチェックをすり抜けたデータのみがやっているということとなり、一定の品質が保証されます。

 

5.デジタルインボイスのメリット

①標準化構造化されたデータにより後工程の自動化が図れること

②4コーナーモデルにより、異なるシステムのユーザーとの送受信を広く行えること

③仕入税額控除に関する整合性チェックにより一定の品質が保証され、安心して受診できること

 

デジタルインボイスを採用することで、単なるインボイスの電子化ではなくデジタル化が図れます。

通常、電子インボイスのメリットとして、インボイスの発行・保管コストや探して取り出す手間の削減といったことが挙げられています。

これらはいずれも、コスト削減といった不の解消という要素ばかりであり、「電子化」の域を脱しません。

 

一方、デジタルインボイスは、電子インボイスの上記メリットに加えて、後工程の自動化・広く送信が可能・安心して受信が可能といったメリットがあることから、電子化ではなくデジタル化が図れる仕組みです。

 

6.PDF等の電子インボイスとの比較

 PDF 等の電子インボイスと、デジタルインボイス及び TKC システムの組み合わせで比較すると、 PDF 等を電子メールでやり取りする場合には、メールアドレスでのやり取りとなるため、場合によって担当者ごとにこのアドレス管理が必要となります。

一方、デジタルインボイスの場合は、法人番号等で送受信を行う仕組みのためアドレス管理は最低限となります。

 

また電子メールでやり取りされる PDF 等の電子インボイスは各部署の担当者に直接メールされるケースが多く、本社で集中管理が困難です。

一方、デジタルインボイスは常に会社宛に送られ送られる仕組みのため、本社で集中管理を行うこととなります。

 

さらに TKC システムでは担当者に対して通知する仕組みを設けております。

そして PDF 等の電子インボイスはインボイスの記載事項が網羅されているか確認が必要ですが、デジタルインボイスはその観点での確認は不要となります。

さらにメールで受信した PDF 等の電子インボイスの場合は、ファイル共有ソフトへ別途保存といった手間が必要となり、保存漏れのリスクがあります。

 

一方、TKCシステムでデジタルインボイスを受信した場合、 TKCシステムで自動保存されるため、保存漏れのリスクもありません。

 

また PDF 等の電子インボイスは非構造化データのため、目視で確認し、後工程は手作業が発生します。

一方、デジタルインボイスは構造化データのため、システムが読み込み、後工程は自動化されます。

 

そして最後に PDF 等の電子インボイスは、視認性確保のため画像ファイルを保存することとなり保存容量が大きくなりますが、デジタルインボイスは保存対象の保存対象文字列のデータとなり、非常に少ない容量での保存が可能です。

 

7.デジタルインボイスの効果

デジタルインボイスを導入することでの効果を、以下4点紹介します。

 

①仕訳入力にかかる作業負担の軽減

仕訳入力にかかる作業負担を軽減でき、経理担当者は、より付加価値の高い業務に時間を割くことができます。

 

②仕訳入力ミスを削減

確認作業の負担を軽減されるとともに、信頼性の高い会計数字を確認できるようになります

 

③リアルタイムの業績把握

そしてインボイスを起点として取引が科目残高に即座に反映されることとなり、リアルタイムでの業績把握が可能になります。

 

④詳細な業績管理

詳細な仕訳入力が可能になり、部門別・取引先別・商品別など、詳細な業績管理が可能になります。デジタルインボイスを採用し、デジタル化を図り、このような体制を構築することで、企業においてはデジタルトランスフォーメーションが達成可能になります。

 

 

 

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