インボイス・マネジャー2023の紹介|2023年9月に提供を予定
「インボイス・マネジャー2022」に、さらに機能強化を行い、2023年9月に提供を予定している「インボイス・マネジャー2023」を紹介します。
「インボイス・マネジャー」とは電子帳簿保存法に定める電子取引データの保存要件及びスキャナ保存制度の要件に対応した TKC のクラウドサービスです。
搭載していた機能は現在の FX 4クラウドの証憑保存機能と同じものでしたが、そのインボイスマネジャーにデジタルインボイスの送受信機能を搭載した「インボイスマネジャー2022」を、2022年12月に提供いたしました。
また、インボイスマネージャーは証憑保存機能と異なり、経理部門以外の現場の担当者の利用も想定しています。
インボイスマネジャー2023では FX 4クラウドをご利用の企業様における DX を支援すべく、より詳細な仕訳を生成できる機能や承認・確定機能を搭載する予定です。
1.レベルアップ全体像
インボイスマネージャー2023では、以下5点のレベルアップを予定しています。
【1】適格請求書発行事業者の登録番号のチェック機能の搭載
【2】より詳細な仕訳生成機能の搭載
【3】承認・確定機能の強化
【4】 Web サイト上の請求書データを印刷感覚で保存できる機能の搭載
【5】ぺポル仕入明細書の送受信機能の搭載
提供予定:2023年9月提供予定
本記事では、これらの5点のうちのペポル仕入明細書送受信機能を除いた4点をご紹介します。
2.適格請求書発行事業者の登録番号のチェック機能の搭載
【1】受信または手動で登録した仕入インボイス内の登録番号について、適格請求書発行事業者公表サイトのデータを検索し、まずは当該番号が存在すること(実在性)をチェックします。
【2】当該番号が存在する場合、仕入インボイス内の発行者名について、登録番号をキーにして適格請求書発行事業者公表サイトに記載されている「氏名又は名称」や「屋号」と比較し、異なっている場合は確認を促します。
【3】確認したパターンを保存し、次回以降同一の登録番号及び発行者名の組み合わせの適格請求書が届いた場合は、再度の確認を不要とします、
~具体的なイメージ例~
株式会社 TKC の登録番号が記載された領収書について、これまで「株式会社 TKC 栃木本社」や「株式会社 TKC 東京本社」という名称で受領した実績があったが、新たに「株式会社 TKC 栃木 SC サービスセンター」という名称で記載されていた場合、確認を促し、ボタンをクリックすると、当該確認実績が記録され、次回の確認は省略される。
3.詳細な仕訳生成機能の搭載
3.1 概要
デジタルインボイスには、取引先名・品名・課税分類コードでその他付随情報がセットされており、これらの情報を正確に読み込むことができます。
これらのデータを活用し、部門コード・勘定科目コード・取引先コード・課税区分コードの元となる取引種類から仕訳データを自動生成し、 FX 4クラウドに仕訳データを生成します。
証憑保存機能では取引先名から仕訳ルールを通して、仕訳を計上できる仕組みはありますが、この仕訳生成機能では、取引先名だけでなく、品名など、より多くの引数から明細単位で仕訳を生成できます。
この仕訳生成にあたっては、TKCで取得済みの「電子インボイスからの仕訳データ生成機能の特許技術」を活用します。(2021年9月取得)
3.2 インボイスから仕訳へのデータ変換
仕訳データの生成ロジックについてご紹介します。
大きな仕組みとしては、勘定科目や課税区分等を紐付けた「取引種類」を、仕入インボイスに指定することで仕訳データを生成します。
【1】インボイスの明細単位で、「取引種類」を指定
【2】指定した「取引種類」は、同一インボイス内の次行以降の明細(未指定の明細等に限る)に複写
【3】複写された「取引種類」を必要に応じて修正
【4】売り手、品名、税区分等のデータセットに対し、「取引種類」を記憶し、次回以降
、同じデータセットの仕入インボイスを受信した際には当該「取引種類」を初期値として自動セット
取引種類を指定すると、同じインボイス内で次の行以降の明細に、当該取引書類を複写します。
これにより明細件数が何百何千とあっても、簡単に「取引種類」を指定可能です。
また明細単位で必要に応じて修正した「取引種類」について取引先名・課税区分等のデータセットに対し、「取引種類」を記憶し次回以降同じデータセットの仕入インボイスを受信した際には、当該取引種類を初期設定として自動セットすることができる仕組みを採用します。
3.3 仕訳出力レイアウトの設計
次に仕訳データの出力機能についてご紹介します。
仕訳データの出力は基本的には FX 4クラウドを対象にして行いますが、購買システムや原価管理システムに連携するといったことも考えられます。
このようなことを踏まえて複数種類の出力レイアウトを設計できるようにします。
その種類ごとに CSV やエクセルファイルといったファイル形式を選択できるようにします。
出力先のシステムによっては、貸借区別なく読み込むケース、貸借区分別で貸借を区分し貸借それぞれの単位で行を読み込むケース、 貸借それぞれ別々の列で行が定義されているケースなどがあります。
上記いずれにも対応できるようにする予定になっています。
もちろん出力する列や順番等、日付形式や軽減対象取引区分の出力値など、システムの仕様によって異なる内容について、個別に指定できるようにする予定です。
4.承認・確定機能の強化
仕訳生成するにあたって、デジタルインボイスの受信の際に、担当者が誤った取引種類を選択していないかといった確認作業が重要となります。
この確認作業を支援するため、「承認・確定機能」を強化します。
【1】複数の承認権者による多段階の承認に対応
現在は1段階のみの確定機能を、複数の承認権者による多段階の承認に強化します。
【2】承認経路は「書類の種類」ごとに設定可能
「書類の種類」ごとに承認経路を設定できるようにして、金額や部署によって承認経路が異なるケースにも対応できるようにします。
【3】差し戻し処理を行えるようにし、その際には理由等を入力
差し戻し処理を行う際、その理由等を入力できるようにして担当者にその旨をを確認できるようにします。
【4】承認依頼や差し戻しなどの情報をホーム画面に表示し、事実が該当ユーザーに通知
【5】最終承認が行われた後、仕訳生成
仕訳生成は最終承認が行われた後行うようにいたします。
5.WEBサイト上の請求書データを印刷感覚で保存できる機能の搭載
ウェブサイト上の請求書データを印刷間隔で保存できるようにします。
現在ですと、ウェブサイトに表示された請求書データを保存する際、プリンタドライバーを利用して PDF ファイルに変換し、デスクトップ等に一旦保存し、そのファイルを証憑保存サービスでアップロードするといった作業を行っているものと思います。
この作業の簡素化のため「 TKC (インボイス)」というプリンタドライバーを設け、そのプリンタドライバーを選択し印刷ボタンをクリックするだけで 、PDF ファイルへの自動変換を行い直接「インボイス・マネジャー2023」に保存できるようにします。
今後 インターネット通販サイト(ECサイト)での取引がますます増加することが見込まれるなか、「 インボイス・マネジャー2023」を利用することでより簡単に電子取引データを保存できるようになります。
最後に~デジタルインボイスの制限事項と TKC での対応について~
デジタルインボイスでは様々な制限事項がありますが、こちらの記事では、これらのうち一部の内容についてのみ紹介します。
デジタルインボイスは国際的な標準仕様をベースとしている関係上、税込金額がセットできません。
TKCシステムでも特に対応策がないという状況のため、明細金額を税込ベースで記載されている請求書をデジタルインボイスでお送りする場合は、税抜きベースへの変更をご検討いただきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
インボイス・マネジャーの導入を是非ご検討いただければ幸いです。
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インボイス・マネジャーとは|電子取引データの保存要件及びスキャナ保存制度の要件に対応した TKC のクラウドサービス
デジタル庁が日本における標準仕様の策定・普及・定着を進める「デジタルインボイス」で、
その「デジタルインボイス」の送受信機能に対応した「インボイスマネジャー2022」を紹介します。
「インボイス・マネジャー」とは電子帳簿保存法に定める電子取引データの保存要件及びスキャナ保存制度の要件に対応した TKC のクラウドサービスです。
搭載していた機能は現在の FX 4クラウドの証憑保存機能と同じものでしたが、そのインボイスマネジャーにデジタルインボイスの送受信機能を搭載した「インボイスマネジャー2022」を、2022年12月に提供いたしました。
また、インボイスマネージャーは証憑保存機能と異なり、経理部門以外の現場の担当者の利用も想定しています。
1.はじめに~多くの企業が抱える課題~
◎デジタルインボイスに対応するためには、販売管理システム改訂が必要
①ペポルへの接続 ②デジタルインボイスの出力 ③デジタルインボイスの受信システムの導入
◎さまざまな業務システムが点在
①部門によって異なる販売管理システム ②現場に届く請求メールと保存先の部門共有サーバ
◎経理のDX化
①取引先等からのデジタルインボイス対応要請の可能性
②経理処理を見直すチャンス
デジタルインボイスに対応するためには、ぺポルへの接続・デジタルインボイスの出力といった販売管理システムの改修やデジタルインボイスの受信システムの導入といった作業が必要となります。
また部門等により異なった販売管理システムが導入されているケースが多く、電子取引データを一元的に管理できる体制も構築できていない企業様もいらっしゃいます。
今後、得意先からデジタルインボイスでの送受信を要請されるといった可能性が想定されます。
その対応に追われると同時に、特に経理財務部門においては自社の経理処理を見直すチャンスでもあります。
上記のような課題を抱えている企業様向けに、TKCは「インボイス・マネジャー2022」を提供しています。
2.インボイス・マネジャー開発のあゆみ
「インボイス・マネジャー2022」では様々な販売管理システムとデータ連携し、デジタルインボイスを送信できます。
「インボイス・マネジャー2022」の前身である「インボイス・マネジャー」は FX 4クラウドの証憑保存機能と同様のスキャナ保存および電子取引データの保存機能が搭載され、当時から多くの中堅・大企業にご利用頂いていました。このインボイスマネージャーに販売管理システムから出力した売上データの読み込み機能、売上インボイスの送信機能および仕入インボイスの受信機能を搭載した「インボイス・マネジャー2022」をこの2022年12月に提供開始しました。
2023年10月に予定されているインボイス制度の開始前に、適格請求書発行事業者の登録番号のチェック機能、詳細な仕訳生成機能及び承認確定機能を搭載した「インボイス・マネジャー2023」の提供を予定しています。
さらにその後デジタルインボイスのデータを活用した独自の BI 機能の搭載を計画しています。
3.システムの全体像
「インボイス・マネージャー2022」では、様々な販売管理システムから出力した売上データをデジタルインボイスに変換し変換し、得意先に送信します。
またデジタルインボイスをご採用でない企業様には、同様に変換したデジタルインボイスを共有サイトを通して得意先に送信します。
仕入先からはデジタルインボイスで送られてくるケース、他社の共有サイトを通して提供されるケース、電子メールの添付ファイルで送信されるケース、紙で届くケースなど様々なケースが想定されます。
インボイス・マネージャー2022では、これらのいずれのケースにも対応するとともに、インボイスマネージャー2023ではインボイスに記載された適格請求書発行事業者の登録番号の実在性をチェックし保存できるようになります。
現在も仕入れインボイスから仕訳データを生成できますが、「インボイス・マネジャー2023」では、より詳細な仕訳データの生成機能の搭載を予定しています。
インボイス・マネジャー2022に搭載した各機能についてご紹介していきます。
4.売上インボイスの送信
4.1 売上データの読込
売上インボイスは、販売管理システムから出力した売上データをデジタルインボイスにデータ変換し送信します。
売上データを画面中央にドロップし、必要に応じて変換されたデジタルインボイスを確認の上「送信開始ボタン」をクリックすることで送信できます。
ペポルについて非常に難しい仕組みのように感じていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、シンプルな操作でデジタルインボイス送信可能です。
4.2 複数の読込レイアウトを設計可能
上記のように売上インボイスの送信機能を利用するためには、事前準備として、読込レイアウトの設計が必要です。企業によっては部門ごと・事業の種類ごとなど、色々な種類の販売管理システムをご利用かと思います。
そのような企業様の実務を想定し、インボイス・マネジャー2022では、複数の読込レイアウトを登録可能にし、さまざまな販売管理システムとのデータ連携機能を実現しました。
複数存在する販売管理システムについて、同じレイアウトの売り上げデータを出力できるようにする必要はありません。
4.3 簡単なレイアウト設計作業
読込レイアウトの設計作業も非常に簡単に行えます。
予め読み込んだ「雛形ファイル」の列の名称が、画面左側に表示されます。画面右側に表示されたインボイスマネージャーの読込項目に対し、ドラッグ&ドロップで項目を割り当てることが出来ます。
またファイルの値ではなく、固定値を読み込む場合は「固定値」欄にチェックをつけ、値を指定することで対応可能です。
5.仕入インボイスの受信
5.1 本日受信したインボイスの件数等の確認
ログイン後、トップページに本日受信したデジタル仕入れインボイスの件数が確認できます。また、受信した 仕入インボイス について一覧上で確認でき、そこから各デジタルインボイスの詳細をTKC独自のViewer(ビューア―)で確認ができます。
5.2 メールアドレスをキーにして担当者に通知
デジタルインボイスは法人番号などをアドレスとして送信される仕組みで、通常であれば担当者にはその旨が通知されません。
これを打開するため、デジタルインボイス内の項目「担当者のメールアドレス」とインボイス・マネジャー2022のユーザーごとに登録可能なメールアドレスを紐づけて、担当の仕入れ先からデジタルインボイスが届いたことを該当の担当者に通知するようにしました。
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デジタルインボイスとは
デジタル庁が日本における標準仕様の策定・普及・定着を進める「デジタルインボイス」について紹介します。
1.電子インボイスとデジタルインボイス
インボイスの記載事項がセットされた電子データを「電子インボイス」と定義しています。
「電子インボイス」と法令上明確に定義されたものではなく、例えば、紙で受領したインボイスをスキャナ保存したデータも「電子インボイス」と指す場合もあります。
今回の記事では、電子で送受信したインボイスのことを「電子インボイス」と呼びます。
その「電子インボイス」ですが、現在はメールの添付ファイルとして PDF で送られる場合が非常に多いと思います。
今回のメインテーマである「デジタルインボイス」は、その「電子インボイス」の一形態にあたります。
2.デジタルインボイスとは
「デジタルインボイス」とは、標準化され、構造化された「電子インボイス」と定義されています。
標準化とは、経産省によると、ものや事柄の単純化、秩序化、試験評価方法の統一により、製品やサービスの互換性・品質性能・安全性の確保、利便性を向上するものとされています。
つまり、世の中に出回っている色々なシステムによらず、統一された形式の電子インボイスの送受信が可能となり、利便性が期待できます。
そして「構造化データ」とは、 IT 用語辞典によると、項目の形式や順序などを明確に定義された構造に従って記述・配置されたデータ集合のことで、プログラムによって自動処理するために用いられることが多いとされています。
普段の経理業務において、会計システムに CSV ファイルや xlsx データを読み込ませたりしているケースが非常に多いと多いと思います。これは「構造化データ」であることによって実現しています。
この二つの定義を合わせると、統一され明確に定義されたフォーマットの電子データがインボイスとして送られてくるということを意味します。
言い換えると、会計システムに読み込ませられるデータが「デジタルインボイス」という名を冠して仕入先から送られてくる、ということになります。
3.Peppol(ペポル)でのデータのやり取りの仕組み
デジタルインボイスは、Peppolネットワークでやりとりされることとなります。
Peppolネットワークには、「4コーナーモデル」というアーキテクチャが採用されています。
この「4コーナーモデル」では、自社のシステムで電子インボイスの発送処理を実行すると、お互いのアクセスポイントを経由して相手先のシステムに当該電子インボイスが届くという仕組みになっています。
この仕組みはお互いのインターネットサービスプロバイダーを経由して、相手先に届く電子メールの仕組みと似ています。
電子メールと大きく異なる点として、Peppolネットワークでは各事業者は法人番号などの公的な番号で識別されるという点が挙げられます。このためデジタルインボイスは相手先の担当者とのメールアドレスを指定して送るのではなく相手先の法人番号等を指定して送るという仕組みになっています。
4.仕入税額控除の要件等に関する整合性チェック
Peppolでは、データ送信時にその電子文書に応じた整合性チェックが実施されます。
日本のインボイスの場合、その記載事項が網羅されているか等の条件で、この整合性チェックが実施されます。
その内容は、例えば「売り手の名称」がセットされているか、といった単純なものだけでなく、消費税等が税率ごとに計算及び端数処理が行われた結果と一致しているか、といったものもあります。
これらの仕組みが盛り込まれていることから、送られてくる電子デジタルインボイスはこれらのチェックをすり抜けたデータのみがやっているということとなり、一定の品質が保証されます。
5.デジタルインボイスのメリット
①標準化構造化されたデータにより後工程の自動化が図れること
②4コーナーモデルにより、異なるシステムのユーザーとの送受信を広く行えること
③仕入税額控除に関する整合性チェックにより一定の品質が保証され、安心して受診できること
デジタルインボイスを採用することで、単なるインボイスの電子化ではなくデジタル化が図れます。
通常、電子インボイスのメリットとして、インボイスの発行・保管コストや探して取り出す手間の削減といったことが挙げられています。
これらはいずれも、コスト削減といった不の解消という要素ばかりであり、「電子化」の域を脱しません。
一方、デジタルインボイスは、電子インボイスの上記メリットに加えて、後工程の自動化・広く送信が可能・安心して受信が可能といったメリットがあることから、電子化ではなくデジタル化が図れる仕組みです。
6.PDF等の電子インボイスとの比較
PDF 等の電子インボイスと、デジタルインボイス及び TKC システムの組み合わせで比較すると、 PDF 等を電子メールでやり取りする場合には、メールアドレスでのやり取りとなるため、場合によって担当者ごとにこのアドレス管理が必要となります。
一方、デジタルインボイスの場合は、法人番号等で送受信を行う仕組みのためアドレス管理は最低限となります。
また電子メールでやり取りされる PDF 等の電子インボイスは各部署の担当者に直接メールされるケースが多く、本社で集中管理が困難です。
一方、デジタルインボイスは常に会社宛に送られ送られる仕組みのため、本社で集中管理を行うこととなります。
さらに TKC システムでは担当者に対して通知する仕組みを設けております。
そして PDF 等の電子インボイスはインボイスの記載事項が網羅されているか確認が必要ですが、デジタルインボイスはその観点での確認は不要となります。
さらにメールで受信した PDF 等の電子インボイスの場合は、ファイル共有ソフトへ別途保存といった手間が必要となり、保存漏れのリスクがあります。
一方、TKCシステムでデジタルインボイスを受信した場合、 TKCシステムで自動保存されるため、保存漏れのリスクもありません。
また PDF 等の電子インボイスは非構造化データのため、目視で確認し、後工程は手作業が発生します。
一方、デジタルインボイスは構造化データのため、システムが読み込み、後工程は自動化されます。
そして最後に PDF 等の電子インボイスは、視認性確保のため画像ファイルを保存することとなり保存容量が大きくなりますが、デジタルインボイスは保存対象の保存対象文字列のデータとなり、非常に少ない容量での保存が可能です。
7.デジタルインボイスの効果
デジタルインボイスを導入することでの効果を、以下4点紹介します。
①仕訳入力にかかる作業負担の軽減
仕訳入力にかかる作業負担を軽減でき、経理担当者は、より付加価値の高い業務に時間を割くことができます。
②仕訳入力ミスを削減
確認作業の負担を軽減されるとともに、信頼性の高い会計数字を確認できるようになります
③リアルタイムの業績把握
そしてインボイスを起点として取引が科目残高に即座に反映されることとなり、リアルタイムでの業績把握が可能になります。
④詳細な業績管理
詳細な仕訳入力が可能になり、部門別・取引先別・商品別など、詳細な業績管理が可能になります。デジタルインボイスを採用し、デジタル化を図り、このような体制を構築することで、企業においてはデジタルトランスフォーメーションが達成可能になります。
インボイス制度対応や電子帳簿保存法対応についてのコンサルティングは福井県越前市の梅田会計へ
弊事務所では、インボイス制度対応や電子帳簿保存法対応についてコンサルティングが可能です。
福井県内の事業者様を中心に、新しい制度にスムーズに対応できるようサポートしています。
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【FX4クラウド】仕訳読込テンプレートのインボイス制度対応
今回の記事では、連携機能を利用する場合の読込ファイルの修正対応について説明します。
FX 4クラウドは、業務システム等から出力された読込ファイルや Excel から仕訳を計上する機能を搭載しています。
当機能を用いてインボイス制度に対応した仕訳を計上するため、必要に応じて読込ファイルの修正が必要です。
仕訳読込テンプレートのインボイス対応(免税事業者からの課税仕入れ)
FX 4クラウドはインボイス制度に対応するため、課税区分と仕訳読込テンプレートの読込項目が追加されます。
業務システム等から取得される読込ファイルについて、以下3点の修正対応が必要です。
1.課税仕入れ→「免税事業者等からの課税仕入れ」と「適格請求書発行事業者からの課税仕入れ」に区分して読込ファイルに課税区分をセット
2.「免税事業者等からの課税仕入れ」→読込ファイルの「消費税等」には0円をセット
3.「事業者登録番号」(適格請求書発行事業者の登録番号)に、必要に応じて該当の事業者登録番号をセット※この項目は取引先コードから値を自動複写することも可能 。
こちらの3点は主に免税事業者等からの課税仕入れがある場合に対応が必要です。
<1.FX4クラウドのインボイス制度対応スケジュール>
令和5年6月に、免税事業者等からの課税仕入れを処理する課税区分の追加、仕訳読込テンプレートに読込項目事業者登録番号が追加予定です。
※この変更に伴い業務システム等から出力されます FX 4クラウドへの読込ファイルの修正が必要となります。
<2.課税区分の追加>
以下の課税区分が追加されます。
52 |
免税事業者等からの課税仕入れ(課税売上げ) |
53 |
同課税仕入れ(免税事業者等)に係る対価の返還 |
62 |
免税事業者等からの課税仕入れ(非課税売上げ) |
63 |
同課税仕入れ(免税事業者等)に係る対価の返還 |
72 |
免税事業者等からの課税仕入れ(売上げ共通) |
73 |
同課税仕入れ(免税事業者等)に係る対価の返還 |
(1)課税区分が追加される理由3点
課税区分が追加される理由は次の3点です。
①インボイス制度への対応
インボイス制度は、適格請求書発行事業者のみが発行可能な適格請求書などの保存が仕入税額控除の要件となります。
免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることはできません。
ただし免税事業者等からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。
②「免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置」とは
免税事業者などからの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています(6年間)。
この経過措置では経過措置期間に応じた控除割合により仮払消費税等の計算が必要となります。
③経過措置期間に応じた控除割合より、仮払消費税等の計算が必要
令和5年10月1日~令和8年9月30日:80%控除可能
令和8年10月1日~令和11年9月30日:50%控除可能
インボイス対応の課税区分をセットすることで免税事業者等からの仮払消費税等を FX4 クラウド内で完全に自動計算することができます。
<3.読込項目「事業者登録番号」の追加>
仕訳連携機能で利用する仕訳見込みテンプレートの読込項目に事業者登録番号が新たに追加されます。
(1)なぜ追加するの?
項目を追加する理由は以下の3点です。
①適格請求書を交付可能な適格請求書発行事業者となるためには、登録申請手続きを行い登録を受ける必要があります。
②新規設立法人の場合、設立後、その課税期間の末日までに、登録申請手続きを行うことで事業開始時から登録を受けたものとみなされます。
③ 適格請求書発行事業者は、登録の取消などが行われる可能性があります 。
以上のことから取引先が適格請求書発行事業者か否かを常に確認する必要があります。
(2)仕訳の有効性チェック
今回追加した読込項目、事業者登録番号は仕訳の有効性チェックに利用します。
①適格請求書発行事業者等からの課税の場合、仕訳に事業者登録番号を保存し、当該事業者登録番号の有効性をチェックします。
②免税事業者等からの課税仕入の場合、事業者登録番号がセットされている取引コードを指定された場合は警告を表示します。
(3)ご利用のワンポイントアドバイス!
①取引先コードを活用した事業所登録番号のセット
事業者登録番号を登録済みの取引先コードから当該事業者登録番号を自動でセットすることができます。取引先マスターを今のうちから整備しましょう。
②事業者登録番号を活用した取引先コードのセット
事業者登録番号により取引先コードの自動セットも可能です。Excelからの仕訳計上機能で仕訳データ入力の際、受領した請求書等に記載された事業者登録番号を入力することで、仕訳に取引先コードをセットできます。
<4. 読込ファイル(仕入・経費)の修正対応>
上記の課税区分読込項目の追加を踏まえた、仕訳読込テンプレートの読込ファイルの修正対応についてご説明します。
(1)課税区分による課税仕入れを区分
①適格請求書発行事業者から課税仕入れ等の場合に限り課税区分「5」や「7」等をセットしてください。
②免税事業者等から課税仕入の場合、課税区分「52」や「72」等をセットしてください
(2)免税事業者等からの課税仕入れの仮払消費税等の自動計算
免税事業者等からの課税仕入れを[52]や[72]等の場合、以下のように登録してください。
①取引金額には税込金額をセット
②消費税等は0
(3)適格請求書発行事業者の有効性チェック
業務システム内の適格請求書発行事業者登録番号を「事業者登録番号」の項目にセットしてください。
まとめ
・適格請求書発行事業者と免税事業者からの課税仕入れを分けるには、
仕入先単位で計上する必要あり。
・免税事業者等の場合は、課税区分[52][72]をセットし、取引金額は税込金額にし、また消費税額をゼロにする。
この結果 FX 4クラウドで仮払消費税等の自動計算します。
<5.読込ファイル(仕入・経費)の修正対応【連携方法別】>
読込ファイルの修正対応について連携方法別に詳しくご説明します。
まずは連携方法の確認です。 FX 4クラウドなどと業務システムとの連携は3つの方法があります。
① TKC 標準読込レイアウトファイルによる連携
②仕訳読込テンプレートの設計機能を利用した連携
③Excel からの仕訳計上機能を利用した連携
この上記3つの連携方法によって読込ファイルの修正方法が異なります。
以下、現在の連携方法を確認する流れです。
(1)連携方法の確認
①仕訳連携タブ「32 ファイルレイアウトの設計」を押す
②対象の業務システムを選択し、「2.仕訳読込テンプレートの設計」を押せるかどうかを確認する
1)押せる場合は「仕訳読込テンプレートの設計機能を利用した連携」。
2)押せない場合は「 TKC 標準読込レイアウトによる連携」。
32番のタブを押して業務システムを選び、2番が押せるかどうかを確認ください。
Excel から直接仕訳を計上する場合は、「 Excel からの仕訳計上機能利用の連携」となります。
(2)TKC 標準読込レイアウトファイルの場合の対応
①「免税事業者等からの課税仕入れ」の場合
1)7列目の課税区分[52][72]をセットします。
2)16列目の消費税金額は0をセットします。
②「適格請求書発行事業者からの課税仕入れ」の場合
47列目(新たに追加)に事業者登録番号をセットします。
(3)仕訳読込テンプレートの設計機能を利用する場合の修正対応
①「免税事業者等からの課税仕入れ」の場合
1)免税事業者等からの課税仕入れを処理する課税区分[52][72]等をセットします。
セットする場所ですが読込項目課税区分に紐づいている読込ファイル内の列となります。
2)消費税金額は0をセットします。
②「適格請求書発行事業者からの課税仕入れ」の場合
業務システム内の適格請求書発行事業者登録番号をセットしてください。
上記、業務システム側で課税区分の追加や消費税金額をゼロに対応することは難しいケースがある場合、仕訳読込テンプレートに搭載している「条件式」や「コード変換表」を利用して、課税区分と消費税金額に対応します。
例:取引先コードを基に、課税区分と消費税金額に「条件式」を設定
項目「課税区分」
取引先コードxxxxxxxの場合は、52。それ以外は、5。
項目「消費税金額」
取引先コードxxxxxxxの場合は、0。それ以外は、列○○を参照。
対応するためにも、免税事業者等を区分するキーが必要となるため、取引先名や取引先コード等で免税事業者等を区分することが必要になります
(4)Excelからの仕訳計上機能を利用する場合
最後に Excel からの仕訳計上機能を利用した連携の対応です。 Excel からの仕訳計上機能は Excel に直接課税区分や消費税金額を入力されてることが多いと思います。
そのため、免税事業者等からの課税仕入れの場合には、課税区分の列に52は72と入力してください。また、消費税金額はゼロを入力してください。
事業者登録番号については受領したインボイスに記載された適格請求書発行事業者登録番号を入力してください。
<5.その他の読込ファイルの修正対応>
【積み上げ計算を採用するときの注意事項】
(1)課税売上に係る消費税等(仮払消費税等)は、
請求書等の消費税などと同額を計上してください。
①売上税額は自社が発行した請求書等の消費税額を積み上げて計算します。
②この対応にあたり、FX4クラウドでは、仕訳の消費税等の合計額を申告システムに連携し、申告計算を行う予定です。
(2)免税事業者等からの課税仕入(課税区分[52]等)の仕訳は、
合計額ではなく、個々の取引単位で計上してください。
①免税事業者等からの課税仕入について、申告計算で使用する「仕入税額とみなす金額」は、課税仕入れの都度、計算及び端数処理が必要です。
②この取引にあたり、FX4クラウドでは、1伝票で1課税仕入れとみなして計算するため、取引ごとに伝票を作成してください。
これまでご説明した修正対応について、業務システムの改修が必要な場合、改修には一定期間を要することが想定されます。お早めの対応をお願いします。
インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁 (nta.go.jp)